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切通理作
2017.8.14 08:34

これも日本の文化なの?

     既に時浦さんからも告知くださっておりますが、ゴー宣ネット道場「切通理作のせつないかもしれない」の最新回をUPいただきました。

 

 以前こちらのブログに書いた「ネットの<炎上>というのは、日本にしかない」という発言をされたのは、今回のゲストであり、19日より公開される映画『蠱毒(こどく)ミートボールマシン』を監督された西村喜廣さんです。

 

 北米のSXSW2017正式出品ほか、海外映画祭上映が続々決まっている『蠱毒』。世界中の人々と交流していて、西村監督が気付いたもう一つのことも、番組の中で語られています。

 

 それは「<ハゲ>が笑い物なのは、日本だけ」!

 今回の『蠱毒』は、ハゲ頭で異相の俳優として知られる田中要次さんの主演作なのですが、うだつのあがらない中年男役の彼がコケにされる時に何度か出てくる「ハゲ」ネタに、海外の観客は、クスリともしないそうです。

 

 つまり「ハゲを笑う文化がない」。

 欧米では、ハゲは男らしさを表現するものとして、むしろ年長男性の「カッコ良さ」を表す符牒になっているとのこと。

 

 最近世間をにぎわせたハゲネタといえば、豊田真由子衆院議員による「このハゲーっ!」でしょうが、これはいま日本の子ども達の間で流行っているようです。

 たしかに、いま放送番組でもあまり「ハゲ」って言わなくなりましたし、日常でも「大人にそんなこと言うんじゃありません」と教えられたりして、子どもたちにとって「ハゲ」という言葉はあまり使われなくなっていたのかもしれません。

 

 そこへ「うっかり録音されてしまった」という文脈であれ「このハゲー!」が何度も繰り返し堂々と流れたのです。    
 豊田議員の部下いじめについては「こわーっ」と思うだけですが、
「このハゲー!」という言葉だけが切り離されてウケるのは、ガキどもの精神構造としては、さもありなんという気がします。

 これは引き継ぐべき日本の文化なのでしょうか。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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